秋は報恩講の季節

秋がやってくると浄土真宗各寺院で営まれるのが、報恩講です。今回はその報恩講の意義を明らかにしたいと思います。

 もともとは祖師の忌日に報恩のために信者が中心になって行う法要を「報恩講」といいました。しかし現在では一般的に、浄土真宗で親鸞聖人のお徳を讃えて、行われる法会のことを言います。

 親鸞聖人は弘長二年(1262)十一月二十八日(太陽暦では1263年一月十六日)に九十歳の生涯を終えられました。その聖人のご苦労、ご恩徳をしのび、感謝の心を表す日が報恩講です。浄土真宗本願寺派の本山では、新暦により、一月九日から十六日までの七日間にわたって行われます。ずいぶん先の行事を紹介するようですが、報恩講は、全国各寺院でもそれぞれ営まれ、近くのお寺の僧侶がお互いに出勤(内陣でお経をあげること)しあうため、同じ日に行わないようにします。そのため秋になると一ヶ寺ずつ行われるのです。その先陣を切って行うのが我が法徳寺です。法徳寺の属する相模組内では最初の十月九日〜十日に毎年行っています。時間についてはトップページを参照して下さい。毎年熱心な門徒さんが多く参加してくださいます。

ただ浄土真宗の教えでは、この報恩講は、聖人の命日を縁にそのお徳を偲び、念仏の信心を深め合う集会です。決して聖人の復活を願ったり、聖人のために念仏などの行をして亡くなられたことを悔やむ追善供養ではないとされています。

親鸞聖人は修行を勧めるのではなく、決して煩悩を断ち切ることが出来ない凡夫である我々は、阿弥陀如来の慈悲にすがる他無く、その念仏の教えを信じ受けとめれば、その喜びから自然に感謝の念仏が沸き起こるのだとの教えを残して下さいました。これを「信心正因」「称名報恩」といいます。ですから報恩講は阿弥陀さまの広大なる慈悲を、我々に教えて下さった親鸞聖人に皆で一同に会し感謝しあう集会といえるでしょう。

また、この時期は一年間の農作業の終わりを告げるころでもあることから、門徒にとっては収穫祭の意味合いも兼ね備えていたといえます。

 

参考文献 仏事のしきたり百科 太田治 池田書店