48日は花祭り

 48日は花祭りです。といっても近所の桜の名所で行われる、露店とかが出る桜祭りのことではないのです。

 西暦紀元前566年4月8日、偉大なる人類の教師お釈迦さまが、この地上に出現されたのです。それを祝う行事として「花祭り」、正式には「潅仏会」または「降誕会」が全国各地で行われています。我々浄土真宗では、築地本願寺の花祭りは有名で盛大に執り行われています。

 仏典によると、釈迦は、花々が咲き匂うルンビニーの園で、マーヤー夫人が「無憂樹」の枝に手を差し伸べた時、その右脇から誕生し、そしてその直後に、七歩歩んで天と地を指差し、「天上天下唯我独尊」と宣言されたといわれています。

 このとき、天の神々は花びらを散らし、八大竜王は甘露の雨を降らせて祝福したと記されています。

 花祭りは、このような情景を再現して釈迦の誕生を祝うもので、右手で天を、左手で地を指差した姿の「誕生仏」を花御堂の中に安置し、その像の頭上から甘茶をかけて礼拝します。

 この形式は江戸時代に始まり、次第に広まっていったとされています。そして、民間に普及するにつれて、これに、子供の健やかな成長と将来の開運を祈る「子育て信仰」も加わり、全国各地でさまざまな風習を生んでいます。

なお、花祭りの呼称が始まったのは、比較的新しく、明治の終わり頃からです。ヨーロッパで春を告げる「フラワー・フェスティバル」にヒントを得たものといわれています。

しかし花祭りが世間に深く浸透しているとは思えません。キリスト教で言うならクリスマスに当たるのに、仏教のこちらはさっぱり盛り上がりません。私は時期が悪かったなと思います。年末の押し迫った時期、「今年一年も終わったなあ」、「学校も昨日で終わりだ」という時期にあるクリスマスは、開放感があり時期としては最高でしょう。

ところが花祭りは学校も新学期が、会社も新年度が始まる、一年で最も緊張している時期に当たります。お祭りどころではないでしょうから、盛り上がらないのも仕方ないと思います。

お釈迦様誕生の際、「天上天下唯我独尊」と宣言したのは本当なのでしょうか。これを普通に解釈すれば「この世で尊いのは私一人」となり人類の教主お釈迦さまが、このような自惚れを言うのは少し変だと思います。実際は生まれの不可思議な逸話もその宣言も、後世の人々が偉大なお釈迦様を美化し、神秘的に語り継ぐことから生まれた、装飾であると思われます。

きっとお釈迦様も普通の赤ちゃんと同じように、「オギャー、オギャー」と生まれたのだと思います。その元気な産声が世界中の赤ちゃんと同じならば、この世に生まれた生命は皆、「我尊し」と叫んで生まれてくると思います。

私たちは誰が尊く生まれ、誰がそうでないか区別してはいけないと思います。この世に生まれたものは皆それぞれ、かけがえのない自分の命をもっています。誰もが皆、「天上天下唯我独尊」と生まれてきている、そう解釈していいのではないでしょうか。

参考文献 仏事のしきたり百科 太田治著 池田書店

  神奈川新聞 今年3月25日号 論文「花祭りの春」 大山陽堂