地蔵菩薩

この何ヶ月かはその季節に即した行事についての説明を、浄土真宗の行事だけに留まらず、紹介してきました。今回も浄土真宗にはあまり縁がない行事で、しかももう過ぎてしまったのですが、私たちに大変なじみの深い「お地蔵さん」について紹介したいと思います。

「地蔵盆」−地蔵の縁日と盆の二重の供養をする。

さて毎月24日は地蔵菩薩の縁日だそうです。特に、盆の月824日は「地蔵盆」といって盛大に行われるところが多いようです。関西地方で特に盛んで、京都では縁日前の23日から町々の石地蔵の頭におしろいを塗り、目鼻に縁取りを施し、よだれかけを新調する風習があります。石地蔵の前に屋台をしつらえて、香・花・灯・明・ほおずき・団子・果物などを供え、ゆかた姿の子どもたちが念仏を称えたり、余興を楽しんだりする光景が見られるそうです。今回はこの地蔵菩薩について調べてみました。

「お地蔵さん」と呼ばれて、町や村の入り口、道端にたたずんでいる地蔵菩薩は、観音様とともに、もっとも身近な仏様として人々から信仰されています。地蔵菩薩を本尊とするお寺から、村の入り口、峠の上、墓の中など、地蔵菩薩の像の数は、わが国にある仏像のうちで一番多いそうです。

地蔵菩薩のトレードマークとなっている赤ん坊のよだれかけをつけていることから、子どもの守り仏のように思っている人もいますがそうではありません。

地蔵菩薩は、お釈迦様が亡くなられた後、567千万年の後に弥勒仏が出現するまでの間、この世に仏さまがおられないので、仏さまに代わって人々を救い、法を説くために、願ってこの世に出てこられたそうです。

「地蔵」という名の起こりは、大地があらゆるものを育てる力を持っているように、人々の苦しみを救い、願い事全てをかなえて下さるという大慈悲の心を限りなく持っておられるということから、その名がつけられたそうです。

この無限の慈悲心のために地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の六道に姿を現して、ここで苦しんでいる衆生を救済しようと願いを起こされました。全ての人々を苦しみから救うために、手を差し伸べて下さり、そのために誰もが親しみを持てる僧侶の姿をしています。そして私たちが煩悩になどに苦しんでいるとき、一心に地蔵菩薩の名を称えれば、その苦から逃れることができ、楽を得ることができるそうです。ちなみにその礼拝の際には「南無地蔵菩薩」と称えるそうです。

また、さまざまな願い事もかなえて下さると、現世利益を説いているとともに、亡くなっていった方々の過去の罪障も救済して下さることから、地蔵菩薩の信仰が盛んになり、人々の人気を集めたのです。

あいにく浄土真宗では地蔵菩薩を拝むことはありません。浄土真宗の礼拝する「阿弥陀仏」の利益とは違いがあるからです。「抜苦与楽」などは同じですが、「さまざまな願い事をかなえて下さる」ということを浄土真宗では認めていないからです。この世は「諸行無常」であり「因果応報」ですから「絶対」の保障はできないのです。

とはいえ浄土真宗門徒でもお地蔵さんを見かけたら、無視はできないでしょう。教義上は礼拝しなくても、素直に仏さまを見たら礼拝したくなることでしょう。その際はいつもの「南無阿弥陀仏」でなく「南無地蔵菩薩」と称えてみると良いでしょう。

 

参考文献 仏事のしきたり百科 太田治著 池田書店

     仏教の疑問に答える 大法輪選書