掃除と布施

10月2日は、ニコニコ法話会の日ですが報恩講の直前ということで、通常のお経、法話はごく短くして、その代りお寺の掃除をしていただく日にさせてもらっています。具体的にはその日を「念仏奉仕の日」と称し、ニコニコ法話会の参加者が一丸となって法徳寺境内、本堂内を徹底的に片付け、掃除していただくのです。以前は「お磨きの日」とも呼ぶくらい、本堂内陣の真鍮仏具をピカピカに磨く大仕事が中心でしたが、それら仏具にはご寄付により金メッキを施していただいたので、その必要はなくなりました。とはいえ法徳寺境内や本堂は広く、毎日の手入れは行き届いていないのが現状です。そこで10月9,10日の最も大事な行事「報恩講」の前くらいは皆で清潔なお寺にしたいと思います。参加者の中には念仏奉仕の日だと知らずに来寺し驚く方もいますが、お年寄りから若い方まで大変熱心に作業をしてくださいます。

私はこれらのご奉仕を、皆様から頂く「お布施」だと思っています。お布施については以前も書いたのですが今回の掃除を通して具体的に示したいと思います。

「お布施」というとお寺に渡す法礼(お経代)と思うのが一般的だと思いますが、何も金銭に限った事ではありません。布施とは執着やむさぼる心を離れて僧侶や仏さま、さらには恵まれない人たちなどへ施すことを言います。はじめに三つの大事な布施とは

「財施」金品、財産などを施す・・・僧侶へのご法礼、お寺への寄付など

「法施」仏さまの教えを施す・・・・お経や法話会など僧侶から皆様へ

「無畏施」怖れの心を除く・・・・・人生相談など人の話を聞き不安を取り除く

といわれています。さらに財産や技能を必要としない「無財の七施」というのがあります。

 「眼施」あたたかい眼差し・・・・・あたたかく人を見守る

 「和顔悦色施」にこやかな表情・・・明るい笑顔で人と接する

 「言辞施」やさしい言葉・・・・・・人を愉快にする明るい言葉づかい

 「身施」精一杯のおこない・・・・・道端での人への手助け、お寺への掃除奉仕など

 「心施」いつくしみ深い心・・・・・人を思いやる親切な心遣い

 「床座施」人に席を譲る・・・・・・お年寄りへ席を譲る、自分より他人への心遣い

 「房舎施」お客様を迎える・・・・・家や寺に快く人を迎え入れる

以上が2500年前にお釈迦さまが示した布施なのですが、現代にも通じる素晴らしい教訓だと思います。「床座施」などは電車のシルバーシートに注意書きをしたいくらいです。また「お布施」というと信者から僧侶に施すものと思われがちですが、その逆も示しています。むしろ全くの他人に施すことこそが有意義ではないでしょうか。なぜなら布施を行う際の戒めとして「見返りを期待してはいけない」決まりがあるからです。家族や知人に施すときっとお返しやお礼を頂くことになりますし、それを期待してしまいます。しかし他人ですと親切にしてもとっさのことですから、お返しやお礼はいただけないでしょう。でもそれを期待しない、頂かないのが本当の布施なのです。施されたとき、お返しお礼をしなくていいと言っているのではありません。布施の気持ちを持った時、何か魂胆があるようでは布施とはいえないのです。

「念仏奉仕の日」の作業は皆さまから「身施」を頂くことになります。いやいつのまにか「和顔悦色施」も頂いているのかもしれません。なぜなら皆さんつらい作業でも笑顔で奉仕してくださっているのですから。

せめて我々僧侶は「法施」「無畏施」「房舎施」をしっかりできるように精進していかなくてはなりません。