縁起が悪い

早いもので、もう一年が過ぎてしまいました。皆さんお正月はどのように過ごしますか?日ごろの疲れもたまっているでしょうから、家でのんびりでしょうか。どうか重い腰をあげて、お寺参りとお墓参りに行って下さい。「お正月からお墓参り?縁起でもない」なんておっしゃる方もいるかもしれません。しかし霊園を管理していると、私でもびっくりするくらい多くの方が、お墓参りにいらっしゃいます。その人数は年末の最後の週末あたりから徐々に増え始め、お正月の三が日にピークを迎えます。お盆や彼岸ほどではありませんが、それに次ぐ人手といえます。

 正月のお参りが多い事実通り、年末や正月のお墓参りは、むしろ縁起がいいのです。お参りに来る方は皆、笑顔でたいへん幸せそうです。年末や年の始めに、心を清めて仏さまの教えを信じ、ご先祖様の墓前に前年までの感謝と、今年の誓いを新たにする。こんなに気持ちの良い善行が他にあるでしょうか。

 そもそも縁起とは、人間の幸不幸、社会生活における成果のすべてを、人間の行為の結果だとする仏教の根本思想です。簡単にいえば善い事をすればよい結果が起こり、悪いことをすれば悪い報いがあることです。自業自得ともいいますけど、それはどうも悪い事柄にしか使われないように思えます。お寺参りやお墓参りという、ご先祖様が最も喜ぶ善いことをして、縁起が悪いはずがありません。

 ところが残念ながら昔からの風習として、お正月には死を連想するお寺やお坊さんを、避けるという考えもあるようです。事実お坊さんの年始参りは、三が日を過ぎてから始める習わしになっています。

しかし皆さんにはお寺を縁に、大事な人との別れを乗り越えてきたのですから、古い風習は考えずにお墓参りやお寺詣りにいらして下さい。近所の神社に「縁」があるのでしたら、そちらにお参りするのもよいでしょう。しかし縁もゆかりもない遠くの神社に、願い事をかなえるためにお参りするなんて、とても縁起が良いようには思えません。

皆さんが日ごろお世話になっている神社仏閣に、昨年の平穏を感謝し、今年の無事を願う。またお墓に参りも同様に去年の報告と感謝、今年の信仰を誓い合掌したいものです。これらが良い縁を頂く参拝ではないでしょうか。