3月の法話

”パワースポット”


 パワースポット 先日東京へ出かけた際に、明治神宮へ参拝しました。

 私は僧侶ですので神社とは無縁なのは言うまで もないのですが、「初詣参拝者数日本一」の

 明治神宮くらい一度は家族で参拝しておこうとなったの です。

 境内は、正月もとうに過ぎたというのにすごい人でごった返していました。

 とくに外国人が目立つな ぁと思っていたところ森の入口に警備員が・・。

 何かと見てみると、今注目を浴びている「清正井」 (きよまさのいど)の入口だったのです。

 これはある芸能人がテレビで紹介をした場所で、その井戸 を撮影し携帯電話の待ち受け

 画面に設定すると、とびきりの運気がおとずれるらしいのです。

 それが きっかけでネット上で話題になり、人気のパワースポットとなったのです。

 私はそんなもの信じませんが、一応見てみるかと思ったら、もう整理券の配布は終了したとのこと。

 それならいいやと思った ら、次々と警備員に尋ねる人が・・中には「遠くから来たんです。

 なんとかお願いします」と泣きつ く人まで・・。

 半年前まで見向きもされなかった古井戸が、大変なことになっていたのでした。

 パワースポット・・エネルギースポット、気場などともいい、この地球上にあるすべての生命や

 物質の存在及び活動の源となるエネルギーが集中していると、宗教や風水、スピリチュアルの

 観点から見 なされる場所のこと。ただしそれらの効用やエネルギー発生のメカニズムについて

 科学的根拠はない 。

 我々浄土真宗の立場から言うと、パワースポットなど眉つばものだな、と思うのですが、現代人は

 無宗教になったなど叫ばれる中、多くの人々がパワースポットなどの神秘性を強く信じているという

 ことは宗教家として無視できません。

 浄土真宗は呪術や占いなどを禁止し、念仏のみで阿弥陀さまにより救われる他力の立場をとって

 いま すから、人気のパワースポットから力を得るなどというのは到底認められません。

 しかしたとえば私は森林に入ると落ち着きますし、皆さんそれぞれ好きな場所、落ち着く場所がある

 はずです。

 今回、人 気のパワースポットを訪れて思ったのは、私たちのお寺が皆さんのパワースポットになれば

 いいなと いうことです。

 なにも携帯の待ち受けにすると・・ではなく「法徳寺を訪れるだけで落ち着く」とか 「親しみやすいお寺」

 だとか言われるなら光栄だと思うのです。

 少なくとも法徳寺と縁のあった方に は、不安なときなどに人気のパワースポットに行くのでなく、

 自然にお墓や法徳寺にお参りしてもら いたいと思っています。

 「死に関わる悲しみ事はお寺で、お祝い事や願い事は神社」という意識が浸透している世の中ですが 、

 生まれてから命終わるまで自分の信じる宗教のご本尊や、私たちを残してくれたご先祖様を拝み、 心の

 拠り所とするほうが、あれこれ迷うより良いかと思います。

 いつもと同じお寺でお参りをすると 心も落ち着く。阿弥陀さま仏さまに見守られていると実感できる。

 法徳寺は皆さんのパワースポット です。


             善林寺 八千代別院主管 伊東 知幸