6月の法話


”食事のことば”


  「献杯!」・・葬儀や法事後のお斎の席でお馴染みの発声です。これを期に一同箸を進めていきま
 す。名目上は敬意を表して、杯を仏さまに捧げるとは言いながら、実際のところは「乾杯」のかわりで
 あり、特に深い意義を感じることはありません。
 そもそも浄土真宗では「献杯」をしません。すべてが満たされた極楽浄土にいらっしゃる仏さまに、お酒 を捧げる必要はありませんし、そのように振舞いながら私たちが楽しくグビグビ飲むだけですから。
 ・・・とはいえ私たちも飲食をしなくては体が動きません。
 そこで私たち浄土真宗門徒が食前に発するべき「食事のことば」を紹介します。

 <食前のことば>

 (旧)「み仏とみなさまのおかげにより このご馳走を恵まれました 
                       深くご恩をよろこびありがたくいただきます。」

 (新)「多くのいのちとみなさまのおかげにより このご馳走を恵まれました
                         深くご恩をよろこびありがたくいただきます。


 <食後のことば>

 (旧)「尊いお恵みにより おいしくいただきました  
                              おかげでご馳走さまでした。」

 (新)「尊いお恵みをおいしくいただき ますます御恩報謝につとめます   
                           おかげでご馳走さまでした。」

  旧、新と書いたのはこのたび、この「食事のことば」が一部変更になったためです。
 古いほうで覚えてしまった方は、ぜひ新しい言葉を覚えてほしいと思います。
 なぜ新しく制定することになったのかというと・・・?

1、旧には仏さま、皆さまのおかげとあるが、命そのものをいただいているという感謝の言葉がない。

2、旧にある「み仏のおかげにより」という言葉は、あたかも仏が食材を提供するというニュアンス
 で理解されかねないので、尊い命の犠牲や多くの人の手により、食事をいただくことが出来るという
 ことを表した。

3、食後に、旧で省略された「み仏のおかげ」を「御恩報謝」という言葉に表し、ますます報謝の生活を
 おくらせていただくことを誓う。

   食事のことばの改定は、現門主がかねてから「(旧)食事のことばには問題がある」と指摘し
 てきたことが発端だそうです。旧が悪いのではなく、他の人の手により加工された品ばかりが食卓に
 並ぶ、現代の人々が忘れがちな「命をいただいている」ということを伝えたかったのでしょう。
 親鸞聖人750回大遠忌法要に向け、新しい時代の幕開けの象徴として「食事のことば」は生まれ
 変わったのです。 私も早く覚えないと・・

                                              法話担当 伊東知幸