3月の法話 

”アンパンマンのやさしさ”

   “それいけ!アンパンマン”という、幼児に大人気のアニメがあります。

  主人公のアンパンマンは、顔があんぱんの形をした正義の味方なのです。私の子供も大好きで、

  よく一緒にこのアニメを見るのです。その中で、私がいつも印象に残る場面があります。それは、

  お腹が空いて元気がないお友達に、アンパンマンが自分の顔をちぎって「これを食べると元気が

  出るよ、美味しいよ、さあどうぞ」と言って、お友達に食べさせてあげるのです。アンパンマンは、

  元気を取り戻し、美味しそうにあんぱんを食べるお友達を見て、「よかったね」と嬉しそうに微笑む

  のです。

  ある時、“それいけ!アンパンマン”の原作者である、やなせたかしさんがテレビに出演されインタ

  ビューに答えておられました。ある女性が、やなせさんへ質問しました「アンパンマンには、自分

  の顔をちぎってお友達に食べさせてあげる場面がよく出てきますが、私はこれを初めて見た時

  に、正直とても驚いたのです。先生の意図するところをお聞かせいただきたいのです」という質問

  でした。その質問に、やなせさんは「人を助けるというのは、易しいことではない非常に大変なこと

  であって、自分の犠牲をはらわねば出来ないことを、子供たちに伝えたかったのです」と話しをさ

  れておりました。

  私は、この話しをお聞きした時、阿弥陀如来様も私たちをお浄土に救いとるために、大変なご苦

  労をしてくださったことだろうと思いました。私たちを、救うことは容易なことではなかったはずで

  す。しかも、如来様は一つも条件を出しておられません、「おまえを救うことが私の喜びなのだ。

  一人でも浄土に生まれることが出来ないうちは、私は阿弥陀とは名のらない」と誓って下さってお

  りました。そして、今既に、阿弥陀如来と名のってくださっているということは、私がお浄土へ救わ

  れることに心配がなくなったということです。

  先日も、子供と一緒にアンパンマンを見ていますと、子供が「アンパンマンは優しいんだね。」と

  言っていました。私は「優しい」という言葉が大好きなのです。その意味は「他人の憂い、悲しみを

  理解してあげられる」ということだと思います。これが本当に出来るのは如来様でしょうが、人間

  にとってもその心が一番美しく大切なことではないでしょうか、それが本当に実現された世界が阿

  弥陀如来様の浄土なのです。お互いがお互いを認め合い、慈しみ合うことが出来る世界でありま

  す。そして、みんなでこの世の中も浄土のようにしていく努力も必要なのです。

                                      合掌  副住職  伊東 英幸