もうすぐクリスマス

         

また今年も年の瀬が迫ってまいりました。年月の過ぎるのは早く、もう21世紀も2年目に入ろうとしていま

す。お正月を迎える前に、みんながとても楽しみにしている日があります。そうクリスマス。もはや日本人の

最も好きな国民行事といってもいいでしょう。大人も子供もこの名前を聞くと、なんだかわくわくしてきます。

言うまでもなくクリスマスは宗教行事です。そうキリスト教の開祖、イエス・キリストがBC7〜BC4年ごろ、ユ

ダヤのベツレヘムで生まれたという日です。その誕生を祝うというはずが、今や若者を中心に大騒ぎするお

祭りへとなっているのは本末転倒でしょう。キリスト教の信者は世界の人口の3分の1を超える最大宗教で

あるとはいえ、そもそも日本人の大半は仏教徒であるはずです。

現在日本のキリスト教とは、カトリックとプロテスタント合わせて約100万人ですから、日ごろから教会へ足

を運び、教えを信じ、心からクリスマスを祝っているのはごく少数となるのでしょう。つまり大半の方が、にわ

かクリスチャン。

その人たちは行事に合わせて宗教を変えているのです。正月には初詣で神社にお参りし、バレンタインデ

ー(聖バレンタイン殉教記念日)には日本だけの風習を楽しみ、春秋の彼岸にはお墓へお参り、お盆には

先祖を迎えに国民の大移動、七五三はまた神社仏閣へ。

いったい日本人の宗教心はどうなってしまったのでしょうか。1999年の読売新聞の世論調査では、何か

宗教を信じていると回答した人が23%、信じていないと答えた人が77%だそうです。なぜ日本には宗教嫌

いが蔓延しているのでしょう。

理由の一つは明治憲法で「国家神道」をつくりあげたことです。その記憶がなかなか消えず、戦後日本人は

公的な領域から宗教色を一掃してしまいました。それがひとりだけ特定の信仰に凝り固まると奇異な目で見

られかねないという、漠然とした不安感となったのでしょう。

そういう社会に生きる日本人は本当に無宗教なのでしょうか。いやそんなことありません。私も日ごろから

葬儀、法事で感じている日本人のすばらしい宗教心。それは先祖崇拝です。

前出の世論調査で「墓参りに行く」と答えた人が74%もいたそうです。日本人には古くから先祖を大切に祭

って敬意をあらわし、自分もまた先祖に守られているという感覚があるそうです。日本人にとっての祖先

は、キリスト教徒やの神と同じ役割なのです。

どこかの教団に属することを宗教心と言うならば、日本人は無宗教になるでしょうが、先祖を崇めるという

宗教心が私たちの心に息づいています。それは誇ってもいい宗教心ではないでしょうか。

皆さんも時間がありましたら家の大掃除だけでなく。お墓の大掃除も行かれたらどうでしょうか。

法徳寺 副住職 伊東知幸